ボストン日本人研究者交流会 (BJRF)

ボストン在住日本語話者による、知的交流コミュニティーです。

過去の講演

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2021

第189回 講演会(オンライン開催)

日時: 2021年4月17日(土) 16:00-18:00
会場: Zoomによるオンライン開催
「自動運転 ー モビリティをどう変えるのか?」

江坂 俊徳 氏
MIT Sloan School of Management
Toyota Motor North America


運転席に人間がいないロボタクシーが路上を走っていることをご存じですか? どらえもんのひみつ道具「ロボット・カー」は40年たって実現に近づいています。本公演では、世界中で技術開発が進む自動運転の定義、現状、そして立ちはだかる課題を紹介します。 なぜ、レベル4の方がレベル3よりも実用化が先なのか? スタートアップやライドシェアが数兆円も投資して開発を続ける理由は何か? 交通事故は低減するのか? 自動運転のメリットを踏まえて、それをどう活かしていくのか、皆様と一緒に考えたいと思います。 後半では、自動運転の基本的な仕組み、センサー、必要な技術、現在の主な技術課題をご説明いたします。私はトヨタ自動車で予防安全・運転支援システムの製品を開発し、事故低減に努めてまいりました。本公演を通して、皆様の自動運転に対する理解が深まり、より安全なカーライフにつながることを願います。

第一講演
「スタートアップ投資の法的メカニズム ~投資家とベンチャー企業の駆け引き~」

伊豆 明彦 氏
MIT Sloan School of Management
西村あさひ法律事務所 弁護士


『ベンチャー企業がシリーズAで100億円の資金調達を実施!』 最近は日本でもベンチャー企業による大型の資金調達のニュースを耳にする機会が増えてきました。しかしながら、UberやAirbnbのように成功するスタートアップはほんの一握りで、ほとんどのスタートアップは数年のうちに消え去ってしまいます。このように過酷なスタートアップ業界ですが、アメリカでは年間に約14兆円もの資金がベンチャー企業に投入されています。投資家は大きなリスクを背負っており、スタートアップエコシステムにおいて重要な役割を果たしていますが、スタートアップ投資契約において投資家を守るための仕組みが数多く存在していることをご存知でしょうか。 本講演では、多額の資金が動くスタートアップ投資において、投資家とベンチャー企業がどのように交渉を進めていくのか、また、スタートアップ投資契約においてどのような法的メカニズムにより投資家が守られているかについて、法律に触れるのが初めての方にも分かりやすくお話したいと思います。

第二講演

第188回 講演会(オンライン開催)

日時: 2021年3月20日(土) 16:00-18:00
会場: Zoomによるオンライン開催
「組織の集団的知性、そしてAI+人間のポテンシャル」

三浦 弘孝 氏
MIT Sloan School of Management
MIT Center for Collective Intelligence


通信データを使って企業の業績を予測できるか?人間とAIを組み合わせたらAIあるいは人間単独よりも10倍以上のパフォーマンス(super intelligence)を発揮することは可能か?IQ(知能指数)で個人の知能が測定できるように、近年の研究では集団にも集団の知能を表す集団的知能(collective intelligence)が存在すると報告されています。神経科学では人間の意識を測定する一つの方法として『φ』(ファイ)理論が提案され、さらに時系列データを使ってファイを推計する手法が開発されています。本講演では最近発表された集団的知能とファイの相関に基づいて現在研究が行われている、Eメールの送受信データを活用したプロジェクトを紹介します。また、OpenAI(人工知能研究所)が去年リリースしたGPT-3(Generative Pre-trained Transformer 3)を使ってAI+人間の組み合わせがどのようなパフォーマンスを発揮できるかという研究にも触れてみたいと思います。

第一講演
「フェムト秒レーザーと超高速イメージング 〜色(波長)に時間情報をスタンプするSTAMPカメラ〜」

鈴木 敬和 氏
株式会社 資生堂 グローバルイノベーションセンター
元 慶應義塾大学・博士課程教育リーディングプログラム「超成熟社会発展のサイエンス」RA4期生(2020/3 修了)


レーザー光には、レーザーポインターの様に単色光を連続的に出力するCW (continuous wave) レーザーと瞬間的に強いパワーを断続的に放出するパルスレーザーがあります。特に、1980-90年代に実現・普及した光パルスの時間幅がフェムト (10^-15) 秒のレーザーは、超短パルスレーザーの代表格として広く、産業、医療、理学研究分野で応用されています(フェムト秒レーザー増幅器は、2018年度ノーベル物理学賞を受賞)。フェムト秒レーザーは、単色のCWレーザーと異なり光パルスの中に異なる色(波長)成分を有しており、これらの各波長が干渉し強め合うことで短パルス化 (モード同期) が実現されています。本講演では、このフェムト秒レーザー光パルス内の「色」を時間的・空間的に操ることで、超高速なストロボ光として2次元連写イメージングに応用したSTAMP (Sequentially Timed All-optical Mapping Photography) 技術とその展開について、私の学生時代の研究内容(SF-STAMPの開発・応用)を中心に紹介したいと思います。

第二講演

第187回 講演会(オンライン開催)

日時: 2021年2月20日(土) 16:00-18:00
会場: Zoomによるオンライン開催
「なぜ未だにがんは治らない病気なのか 〜システム薬理学で見つけるがんの特効薬〜」

嶋田 健一 氏

Research Associate, Harvard Medical School


本講演では「がんを治す薬(抗がん剤)」の話をします。過去数十年に渡り、多くの先進国において「がん」は主要な死因であり、今後世界全体で高齢化が進むにつれ、がんで亡くなる人は増え続けていくと考えられます。がんの治療法としては、手術以外に、化学療法(薬)・免疫療法・放射線治療が主に知られていますが、どれもあらゆるがんを根治できる、とは言えないのが現状です。がんを根治する薬は、なぜ簡単に見つからないのでしょうか。この理由の一つは、がんというのが一つの病気ではなく「様々な病気の集合体の総称」ということにあります。一つ一つのがんが異なる病気であるため、使うべき薬も変わってくるのです。どうすればがんを薬で治せるのか。そのヒントを、ビックデータ解析を用いた私自身の研究内容も踏まえてお話したいと思います。

第一講演
「音楽学の冒険 ---駄作・モーツァルト効果・FBI---」

沼野 雄司 氏

桐朋学園大学、ハーヴァード大学音楽学部


「音楽学 musicology」とは、音楽(あるいは音)を対象にした学問の総称です。歌や演奏が不得意な人はいても、音楽を聴くこと自体が嫌いという人はほとんどいないでしょうから、実はこの学問は誰にとっても身近なものなのです(日本とは異なり、アメリカではほとんどの大学に―ハーヴァードにもMITにもタフツにも―音楽学専攻課程があります)。本発表では、このディシプリンの魅力を知っていただくために、前置きに続いて、僕自身が来年頭に出版予定の書物で展開している様々なアプローチの中から、3つをご紹介したいと思います。ひとつめは「駄作」の研究。これは、「傑作」こそを研究すべきとしてきた従来の音楽学への批判でもあります。ふたつめはいわゆる「モーツァルト効果」をめぐるあれこれ。いわゆる「理系」の研究者の方々にも、比較的身近に感じられるのではないかと思い、選んでみました。そして最後は現代政治史から見た音楽の研究。アメリカ史における汚点ともいえる1950年代の「赤狩り」と音楽の関係を、意外な資料から探ります。

第二講演

第186回 講演会(オンライン開催)

日時: 2021年1月16日(土) 16:00-18:20
会場: Zoomによるオンライン開催
「炎症性疾患のドラッグディスカバリー研究 〜免疫細胞の暴走を止めろ!〜」

寒原 裕登 氏

Principal Scientist
Quench Bio


細菌やウイルスが感染したときには、我々の体の中にある免疫細胞が活性化され、それに伴う炎症が引き起こされます。炎症は生体の防御機構として必要な反応ですが、過度な炎症反応は炎症性疾患を引き起こしてしまいます。炎症性疾患には関節性リウマチ、潰瘍性大腸炎、痛風、敗血症など様々なものがありますが、その多くはまだ治療薬がなく困っている患者さんが世界中に存在します。これら炎症性疾患に対する治療薬の研究開発はどのように行われているのでしょうか?今回の講演では、ドラッグディスカバリー研究(創薬研究)の全体像、私がアカデミアと創薬スタートアップの両方で取り組んできた炎症性疾患の治療薬研究に関するお話をします。

第一講演
「政府間関係の比較研究」

朴 相俊 氏

大阪大学


皆さんは現在どこに住んでいますか?BJRF(Boston Japanese Researchers Forum)という名前からすると、米‘国’のマサチューセッツ‘州’に位置したボストン‘市’に住んでいる方が多いのではないでしょうか。本講演では、‘国―州(県)―市’の関係に着目した権限配分の問題、いわゆる「政府間関係」について紹介したいと思います。政府間関係の研究は、行政学の核心分野として発展してきたテーマです。日本においても地方分権改革を機に話題になったことがあります。特に 2000 年の分権改革以降、国・自治体間のみならず、都道府県と市区町村間の関係性も変わりつつあることから様々な研究が進んでいます。東日本大震災やコロナ禍で都道府県によって対応の違いが注目を集めている中、誰がどこまでの権限を持つかは、国や自治体の可能性と限界を考える際に欠かせない問題です。本講演が皆さんと一緒に「政府間関係」について考える機会になればと思います。

第二講演