歯周病と動脈硬化の関連に関して聞いたことがありますか?歯周病の主な病原菌のひとつであるPorphyromonas gingivalisは重度歯周病罹患者の動脈硬化部から検出され、歯周病と動脈硬化に関連があるといわれております。
歯周病は現在日本国で約8割の人が罹患しているといわれております。ここアメリカでは動脈硬化に関連する疾患での死亡率は約50%とも言われ大きな成人の死因のひとつとなっております。
歯周病は生活習慣病ともよばれ、日々のメインテナンスが必要です。正しいメインテナンス法をみなさん知っていますか?
―研究者として歯周病と動脈硬化に関する基礎的研究をご紹介させていただき、このふたつの疾患に関して私の知識を皆さんにご紹介したい。
―歯科医師として歯周病に関する正しい知識をみなさんにお伝えして日々のメインテナンスを正しくしていただき、年をとってもたくさんの歯で食事をしていただきたい。
このふたつを目標にお話させていただきたく思っております。
みなさんの身の回りには、数え切れないほどの半導体が、見えないところに満ち溢れています。快適な生活を過ごす上でもはや欠かすことのできない半導体は、より安く高性能で小さなものへと進化しています。
一方でその流れは、半導体を生産する企業にとってみれば研究開発や生産設備への投資の増大を意味し、下落する半導体価格に占める製造コストの割合はますます大きくなっています。そのため、いかに製造コストを削減するかが、半導体業界に生き残るための必要条件となってきています。
製造コストの削減といえば、トヨタが世界的に有名です。実際に日本の半導体企業を中心に、リーン(ムダを削ぎ落とした)・ マニュファクチャリングとも呼ばれるトヨタ生産方式の導入によってコストを削減した企業があります。それらの企業は実際にムダを排除した低コストによる生 産に成功し、利益率を改善することができました。しかし、競争が激化していく中でさらなる製造コストの削減が求められ、現場に入ってみて気づいたものは、 行き過ぎたダイエット(=リーン)でむしろ不健康(=コストが最適化されていない)になっている生産体制でした。
健康でありながら、ムダのない強い企業になるためには、いったいどこまでダイエット(ムダとり)をすべきなのか。半導体業界での事例を中心に、取り組みの中から見えてきた考え方をご紹介したいと思います。
「筋肉を動かせば、筋肉の血流が増える」というのは常識的にも自覚的にも当たり前の現象ですよね。
実は、こんな簡単なこと一つを取ってみても、「本当に筋肉で血流が増えているのか」ということを、しっかりと測定するのは意外に難しいものなので す。ましてや、どうやって血流が増えるのか、という正確なメカニズムに関しては、直接的に研究する手立てすらないというのが実情でした。
遺伝子の技術や細胞生物学が発達を極めたのに対し、一番大事な身体のこととなると、まだまだ、わからない事がだらけです。
血流のことをひとつの例にあげましたが、似たような「分かってるつもりで、意外に、さっぱり分かっていないこと」というのは、枚挙に暇がありません。どんな道具があれば、もっとからだのことや病気のことが理解できるのでしょうか?
今回は、生体顕微鏡という道具に焦点をあてて、議論して見たいと思います。
1.からだの中を覗き見することで、どんな新しいパラダイムがひらけてくるのでしょうか?
2.生体顕微鏡をもっと発展させるためには、どんな工学的技術をすり合わせていく必要があるのでしょうか?
みなさんと一緒に考えて見たいと思います。
時間が許せば、最新の顕微鏡の構造を解説するため、顕微鏡の成り立ちや、光の干渉とか、蛍光とか、解像度のお話など、顕微鏡の分野を知らない方への一般論の紹介のような話題もやりたいと思っています。
世界第二の経済大国である一方で、政府の台所事情に目を向ければ、世界一の借金大国となってしまった日本。
「大増税は避けられない!」、「狂乱インフレがやって来る!」あるいは「こんな日本に誰がしたのか?」とセンセーショナルで人々の不安と怒りを煽るキャッチフレーズとともに語られがちな日本の財政赤字の問題ですが、一方で
「誰が国にお金を貸しているのか?」
「今の日本の財政赤字は本当に危機的なのか?」
「国が借金を返せなくなる=“倒産”することが本当にあるのか。」
「万が一国が“倒産”したら私たちの暮らしはどうなるのか?」
などの根本的な問題について、正確に理解している人は意外に少ないのではないでしょうか?
今回の勉強会では、5年間の財 務省勤務経験を通じて、日本の財政を縦横斜め、上下左右から見てきた経験を通じて踏まえ、日本の財政の現状について、国際比較の視点も交えながら示すとと もに、問題解決のために必要な“処方箋”と“根本的な価値観の転換”について、議論を深めていきたいと思います。
光を使った通信技術が日常の生活の中に知らないうち に使われて来ています。最近、耳にするようになったこれらの技術も、50年前の半導体レーザーの発明、その8年後の光ファイバーの実用化、それに続く多く の発明の結果なのです。いったい、今のファイバー通信技術はどのようにして生まれて来たのでしょうか、そして、これからどんな風に展開していくのでしょう か。ちょっと”非日常的”に聞こえる最先端の面白い物 理トピックを紹介しながら、話を進めて行きたいと思います。
・光通信はどこまで速くなる?
・光は動いていないと存在できないのはどうして?
・蛍の光と宇宙のはじまりの共通点は?
・レーザーはなぜ光るの?
・光と物質の相互作用/透明人間の作り方
・崩れない波を求めて/ソリトンの話
・ロミオとジュリエットの恋愛予測問題/非線形とカオス
・インターネットは安全?絶対に盗聴できない通信法/量子暗号通信
アメリカは技術のブレークスルーとビジネスがとても近い距離にあります。2000年に渡米し、米国ベンチャーに参加、光バブルの崩壊の経験、2002年から始めたベンチャーのexitを終えるまでの経験を、ベンチャーでの研究を織り交ぜながらお話します。
「人生で健康は最も基本的なもので、健康あっての人生」という価値観を否定する人はあまりいません。その価値観の上に立って、保健医療従事者は「年 一回の健康診断は、当然本人のためだから受けるべきだ」「少々他の事を犠牲にしても症状を軽減する努力をすべきだ」「なぜこの人は肝臓が悪いのに酒を飲む のだろう」「なぜ糖尿病があるのに必要以上のカロリーを摂取するのだろう」といった思いを、患者に対して持っています。種々の検査で病気を発見すると、そ の病気の恐さを説明し、どうしたら治せるかに熱弁を振るうことになります。
このときの保健医療従事者にとって、健康とは「病気がないこと」であり、それ以上でもそれ以下でもありません。確かに、結核が流行していた時代の様に、「病気がないこと」を最優先することが正しい時代もありました。
しかし、健康であるということは、「病気がないこと」だけなのでしょうか。病気がなくても何となく元気が無くて「健康」とはいえない人がおり、病気 を持っていても「イキイキ」と生活している「健康」な人がいることは、よく経験することです。健康であるということは、「病気がないこと」以外にも、大切 な要素が沢山あるはずです。
そこで今回の勉強会では、
1.健康には何が大切か。
2.最近の健康戦略について(主に、ヘルス・コミュニケーションの視点から)
3.ここボストンでの出会いを、将来的にどのように発展させていくことが出来るか。
について、皆様と共に考えていきたいと思います。
日本の学力は低下したのか。日本の教育の何が問題でどう変えればいいのか。
昨年9月に安倍首相が誕生して以来、「教育改革」は首相の主要テーマとなり、日々マスコミを賑わしています。昨年だけを取り上げても、学力低下問題、義務教育費国庫負担金問題、教育基本法の改正、学習指導要領未履修問題など、教育は常に国民の高い関心事項です。
しかし、教育を議論するに当たってのひとつの盲点は、データに基づく議論が少なく、一方で、すべての国民が教育の経験者であることから、個人の経験のみに基づく議論に偏りがちです。
今回は、特に皆さんの関心の高い「学力」と「格差」をキーワードにして、
・いわゆる「ゆとり教育」により日本の学力は低下したのか。
・日本の子供たちは他国の生徒と比べて勉強熱心なのか。
・日本人の教育のための出費は他国に比べて高いのか。
・アメリカの教育政策における競争原理を日本に導入すべきなのか。
このようなテーマに関するデータを示しつつ、今後皆さんが日本の教育について
議論するための材料を提供できればと思います。
交流会などでお話していると、マスコミ業界に関して、皆さんの関心が高いなあと感じることがあります。もちろん批判的な意見も多いと思いますが、マスコミが社会の中で、大きな役割を担っていることも事実だと思います。
私は、読売新聞に入社して11年目で、まだまだ記者経験が豊かというわけではありませんが、私のこれまでの経験をお話することで、どういう人たちが、どういう視点で、新聞を作っているか、皆さんの理解の一助になれば幸いです。
お話しようと思っている点は、主に、以下の3点です。
①記者はどのように育てられるか
大手新聞社に入社した記者のほとんどが、入社後数年を地方支局で過ごします。私は東北の秋田支局で5年半過ごしました。支局記者は、事件、事故、行政、スポーツなど、あらゆる出来事をカバーします。その経験の一端をお話できればと思います。
②新聞は、どう作られるか
大きなニュースは、毎日起きているわけではありません。しかし、新聞は毎日朝夕発行しなければ、なりません。新聞 社の中で、どのような価値判断が行われ、どのように紙面を作成しているか。新聞社の組織はどのようになっているか。実際の紙面を参考に、ご説明できればと 思います。
③マスコミの未来は
ネット社会の到来で、新聞はやがてなくなるという論も聞かれます。また、一口にマスコミといいますが、新聞、テレビ、週 刊誌など媒体は様々です。正直言って、はっきりしたマスコミの未来像は、私にもわかりません。むしろ、皆さんとの意見交換を通じて、何かのきっかけをつか めればと思っております。
化学や生物の実験室に入ったことはありますか?
薬品の瓶から何かを取り出し、変な液体に溶かして、フラスコに移して、別の液体を混ぜて、まぶしい光と煙・・・。そんな研究室で起こる一連の実験が全て、名 刺大の小さな板の上で全てコントロールされながら起こるとしたら、スゴいことのような気がしませんか?複雑な実験や診断が、小さなチップの上で全て行われ てしまう、そのようなイメージです。
Microfluidics(マイクロ流体工学)は微小空間での流体の振る舞いの研究、微少量の流体 を扱う装置の構築、そのシステムの応用を目的とした研究分野です。基礎的な理論の構築には化学、物理学、流体力学などが、装置の製作には材料工学、機械工 学、電子工学などが、応用先には生物学、生物物理学・・・、分野を超えて研究者の注目を集めている分野がMicrofluidicsです。本分野の発展に より、チップ上に微細加工された装置(Lab-on-chip)における実験の制御が可能となり、様々な研究分野における応用が期待されています。従来の R&Dの方法論そのものを根本的に変えるかもしれない本分野の発展、装置の製作、装置の応用、商業化の可能性などについて、発表者の研究室での経 験を交えながらご紹介していきたいと思います。
参考文献:
G.M. Whitesides, Nature 2006, 442, 7101, The origins and the future of microfluidics
H. Song et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2006 45, 7336, Reactions in droplets in microfluidic channels
D. Psaltis et al., Nature. 2006 442 7101, Developing optofluidic technology through the fusion of microfluidics and optics.
食生活について様々な情報が飛び交う中、今年の1月某テレビ番組の情報の捏造が発覚しました。医学界では、1月にはソフトドリンクの研究がドリンク業界の圧 力によるバイアスが示唆され、2月にはある種のサプリメントを摂取していると循環器系の疾病を患う確率が上がると報告され、3月には低炭水化物食に分類さ れるアトキンスダイエットが他の類のダイエットよりも体重の減少に好ましい研究が報告されました(1)。4月にも疫学・栄養学やその他疾患関係・医学専門 の雑誌それぞれに、食生活と関係のある報告がsporadicにされるでしょう。
食環境の変化を体験したであろうボストン在住の皆さまは、食料選択の自由に、強い警戒心を抱いていることと思います。しかし、Evidence Based Medicineがうたわれる現社会では、ありとあらゆるEvidence-BIased Meals。私たちの食と健康に関する情報は混沌としています。そんな中、どういった情報をどう解釈してどのような姿勢で食を考えれば、私たちの食卓はより心身にやさしいものとなるのでしょうか。
今回は、私たちを取り巻く情報と、過去にSoft Scienceと評された脂肪の摂取に関する疫学(3)、そしてダイエットの概念について医学・疫学・栄養学の議論をもとに紹介したいと考えております。
(1)Lesser et al., PLoS Med, 4:e5 (2007); Bjelakovic et al. JAMA, 297:842-857
(2007); Gardner et al., JAMA. 297:969-977 (2007)
(2)Taubes, Science 291:2536-2545 (2001)
* MEMS技術の基本的な概略と光MEMSを中心とした応用、動向のお話です。
100分の1ミリから1000分の1ミ リ程度の「機械」を利用した技術(通称:MEMS)が今、研究室を飛び出し、私たちの生活の中に(密かに)入り込み始めています。例えば、仕事のプレゼン テーションや家での映画鑑賞に使われるプロジェクタ。最近の多くのものは、実は1辺100分の1ミリの小型ミラーを数千分の一秒単位で動かすことで実現し ています。
どうしたらそんなことが可能なのか。どうしたらそんなものが作れるのか。
1000分の1ミリのスケールのものは、どん なに手先が器用な人でも通常の方法では製造できません。そこで要になってくるのが光です。では、光を使ってどのようにマイクロマシンが作れるのか、という ことと共に、そこで生じる限界をいかにして超え、更に小さく複雑なものを作ることができるのか、ということを見て行きたいと思います。
更に、このようなマイクロマシン技術がもたらす可能性を、主に「光をあやつる」をキーワードとして、ご紹介します。映像技術から次世代光通信、更にはあの映画の主人公が使うあの道具まで!?
すでに商品化されているものからそう遠くない未来にもしかしら実現するかもしれない研究中のものまで幅広く紹介していきたいと思います。
女子割礼/女子性器切除という風習がある。アフリカ大陸を中心に、成人に達したあかしとして女性外性器の一部またはほとんどを切除したり縫合するものだ。この風習が根づいている国々では50%以上、中には90%以上の女性が割礼を受けているところもある。割礼の際の激しい苦痛はもちろん、感染症、切除後の癒着などによる多くの障害の発生、結婚や出産時のさらなる苦痛と危険など、女性の一生に暗い影をおとし国際的にも批判の多いこの風習だが、なぜ今も残っているのだろうか。
フォトジャーナリストである著者は、エジプト、シエラレオネ、ジブチなど6か国を3回にわたって取材。割礼を受けた人たち、廃絶運動に携わる人、また推進派などにインタビューを重ね、その実態を探ってきた。
集英社新書『ドキュメント女子割礼』2003年より
「サプライチェーンって何?」 「バリューチェーンって何?」 ビジネススクールで戦略系、マーケティング系、オペレーション系の授業を取るとこれらの言葉が必ずと言って良い程登場します。
今回は、まずは基本的なサプライチェーンという概念を理解した後、ソニーの事例を通じ、サプライチェーン戦略にも触れて行きます。
第二段として、コンシューマーエレクトロニクス業界での熱い戦いを次世代DVD規格と薄型テレビのケースからご紹介したいと思います。
「コンシューマーエレクトロニクス業界は、最も厳しい国際競争社会の縮図だ」
(ドナルド・レザードMIT教授)
追随する韓国勢、中国勢に、技術立国日本のメーカーは、策があるのか?
ソニーの事例からコンシューマーエレクトロニクス業界をご紹介します。
誰もが気になる未来予測。でもこれ、とても難しく不確実なのです。
例えば過去の予測を見てみると・・・
予測:「21世紀は日本の世紀になるかもしれない」(TIME誌,1970年)
予測:「未来の世界経済は日本が支配権を握るかもしれない」
(エズラ・ヴォーゲル,ハーバード大学教授,1986年)
事実:日本は失われた10年を乗り越えたばかりで日本はアメリカから学ぼうとしている
予測:「原子力が実用化することなどは決してありえないだろう」
(アルバート・アインシュタイン,1932年)
事実:世界中で原子力発電は使われている
予測「アメリカでのハリケーンの数は,2005年は2004年より少なくなる」
(コロラド州立大学熱帯気象プロジェクト,2004年)
事実:2005年はカトリーナをはじめとしてアメリカは歴史的な被害をこうむった
今回はTPPの一大テーマである未来の不確実性について考えていきたいと思います。
中でもロイヤル・ダッチ・シェル社が用いてオイルショックを切り抜けることで有名になったシナリオ・プランニングという手法を紹介しつつ,例として東京直下地震について一緒に考えていきます。
(今回の発表は、発表者の勉強会の成果に基づいています。)
色々なところで語られるようになった医療問題。問題の本質は何なのか。そして我々に出来ることは何なのか?臨床現場での経験とビジネススクールで得られた知見を基に、医療問題を整理し、医療が向かう先、向かうべき先、そこで求められているもの、などを話したいと思います。医療業界に興味があるがよくわからない、医療制度について知りたい、はたまたビジネスチャンスを探している、など多くの方の疑問を解決する手がかりになれば、と思っています。
誤解を恐れずに言えば、経済学の目的は個人あるいは社会全体の幸福を最大化することである。多くの人々にとって、恋愛は人生の幸福や成功を左右する上で、金運・仕事運と並び最も重要視されるにも関わらず、これまで経済学を初めとする社会科学の諸分野は恋愛についてほとんど言及して来なかった。
一方、誰もが恋愛の経験や哲学を持っている。このような経験を社会科学者は知識として積み上げ、次の世代に継承し、また有意義な政策を提言していくことはできないのであろうか?
恋愛を実証研究に裏打ちされた現代の社会科学・行動科学がどのようにとりくんでいくのか?本講演では、経済学・決定科学の枠組みを中心に心理学、人口学生物学等他分野の成果を取り入れながら恋愛・結婚の行動分析の一端を皆様に紹介したいと考えています。