January 26, 2010

2009年11月7日遠藤謙さん発表内容まとめ

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20091107遠藤謙さん発表報告 PDF版はこちら

異足との共生

ロボット技術の義足開発転用と未来への可能性

遠藤謙
MIT Media Lab, Ph.D. Candidate
出身地 静岡県

学歴  慶應義塾大学理工学部機械工学科
慶應義塾大学大学院理工学研究科
研究歴 科学技術振興事業団ERATO北野共生プロジェクト
千葉工業大学未来ロボット技術研究センター

異足との共生

ロボット技術の義足開発転用と未来への可能性

遠藤謙
MIT Media Lab, Ph.D. Candidate
出身地 静岡県
学歴 慶應義塾大学理工学部機械工学科、慶應義塾大学大学院理工学研究科
研究歴 科学技術振興事業団ERATO北野共生プロジェクト、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター

宇多田ヒカルのPV “Can You Keep A Secret?” にも登場した、高機能でスタイリッシュなロボット制作に携わってきた遠藤さん。彼がロボット技術の未来を考えたときに、見えてきたものは一体何だったのでしょうか。

身体障害者という言葉をなくしたい
講演内容より

ロボット技術と聞いて、皆さんが想像するのはどんなことですか。宇宙探査機?深海2000? メイドロボット?個人的には、日本の電車の中吊り広告にあったお掃除ロボットなどが、現時点において最も実用的な技術の転用例なのかな、などと想像します。

今回講演頂いた遠藤謙さんは、現在のMedia Labで義足研究に従事するまで、慶應義塾大学でロボット技術の開発に携わってきました。日本で遠藤さんが携わってこられた研究内容をはじめ、高校時代の友人のエピソード、現ラボのアドバイザーとの出会い等、現在携わっているプロジェクトのバックグラウンドを含めた、義足全般に関するお話をいただきました。

二足歩行の精巧性
記録によれば、義足は紀元前1,500〜800年には既に存在していましたが、その頃の装具は機能や形態よりもむしろ杖に近い物であったようです。人間の歩行は歩行速度や歩幅、両脚の運びと、脚以外の部位(骨盤、足、膝)との緻密な連携によって動きが可能になります。近代戦争によって義足をはじめとする義肢全般の技術も飛躍的に向上し、現代では装具の軽量化や装着者のQOL向上を中心に開発が進んでいるようです。
機能回復か、それともそれ以上?
医用工学の発達によって、義肢の存在は失った身体の機能回復に大きく貢献しましたが、それと同時に人間が本来持つ身体機能以上のものを獲得していく可能性も出てきました。例えば南アフリカ出身の短距離走選手 Oscar Pistoriusは、義足装着によりオリンピック出場権を得るギリギリのタイムまで記録を伸ばしており、このことによって、彼は健常者オリンピック出場に立候補することが出来るのかどうか、現在法廷で議論になっています。
また、演者のアドバイザーである Dr. Hugh Herrは、テクノロジーと身体機能の融合を研究テーマとする傍ら、自身も高度の義肢を装着することで難関なロッククライミングに挑戦し続けています。飛躍的に進化している義肢技術の意味するところは、義肢の装着が機能回復を超えて、既に機能向上の域に達していることを示していると言えるでしょう。

義足の行方とMIT D-Lab
技術の開発が進む一方で、発展途上国などでは、義肢の支給対象ランクが上位でない一般市民など、まだまだ普及が全般に及んでいないところもたくさんあります。遠藤さんが現在MITで担当されているD-Labの講義では、義足の途上国普及への支援と、それに伴う知識・技術の習得を学生自らが主体となり取り組んでいます。遠藤さんらはこの講義を通して、インドへの義肢普及作業を推進しています。

義肢の技術開発やニーズは双方向に進んでいるー1つは高性能で高価なもの、それは健常者の本来持つ能力を超えうるもの。もう1つは安価で生産が容易なもの、それは生活の手助けとしてなくてはならない必要なもの。
双方に共通しているのは、いずれも人間のQOL(Quality Of Life, 生活の質)の向上に大いに貢献する技術であるということ。

おわりに
今回お話いただいた遠藤さんのご友人に、骨肉腫を患いその結果義肢装着者として生活しておられる方がいます。義肢をはじめとする生活補助具の技術開発は、それを装着してない人々にとっても、その存在の意義を大きく変える一歩であることは確かです。ご友人の言葉を思いが、それを物語っているのではないでしょうか。

“オリンピック選手やヒーローになりたいわけじゃない。普通の生活を取り戻すための答えを知りたいんだ”

文責 嶋本晶子

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